バレンタインの思い出

 生きてきた中で、人からもらった物を捨てたことは一回しかない。小学生の時のバレンタインのことだ。

 私は当時、多摩ニュータウンの団地に住んでいた。小学5年生のバレンタインに、下の階に住んでいたクラスメイトの女の子のMちゃんからクッキーのような何かをもらった。

 ラッピングはボロボロで中身も粉砕されていたが私は受け取った。Mちゃんの境遇を考えればそれ以外に選択肢はなかった。

 Mちゃんはかなり貧乏で、それもちょっと矛盾した貧乏だった。電話はないのにWiiはある(私はそれが羨ましかった……)。食べ物はないのにコーヒー牛乳は大量にある。トイレは壊れたまま修理されていなかった。部屋は家具がほとんどなく、座椅子だけ。話し方が独特だったのでクラスの人からは若干避けられていた。Mちゃんの父親は人当たりはよかったものの、しばしばMちゃんに大量に買い物をさせていた。放課後にMちゃんに会うと、首には年季の入った財布とミサンガが下げられていて、これから買い物に行くんだなとわかる。私の母親は私を叱る際に「Mちゃんを見てみなよ!将来幸せになれると思う?あんな家のところに生まれなかったことを感謝しなさいよ!(お母さんに感謝しなさいよ!)」というのが常套句だった。ずいぶんひどい話だが、実際にそういう環境だったのだから仕方がない。Mちゃんの家と比べると、私の家には壁を埋めるほどの家具があったのは事実だ。

 ただ、Mちゃんは優しい性格で、あの環境で育ったとは思えないほどいい子だった。それに加えて読書家だった。本のセンスもなかなか渋い。(『背後霊倶楽部』を勧められて読んだ。面白かった記憶がある)ということで普通に仲良くしていた。同じ団地なので朝一緒に登校することもあった。そんな感じでMちゃんからすれば私が一番仲の良い友達だったと思う。その上でもらったボロボロのクッキーなのだ。

 私は最大限お礼を言い、家にこっそりクッキーを持って帰ってきた。見るからにヤバそうだったので、その場で捨てようが悩んだが一口食べてみた。ビニールみたいなよくわからない味がして、小学生のバカな舌でもあかんやつということがわかったので捨てた。次の日、Mちゃんにお礼を言った。おいしかったと言うとMちゃんは喜んでいた。

 それからMちゃんがどうなったかは知らないが、とりあえず生きていてほしい。

2020年よかった作品!!!

 書こうと思ってたのに忘れてた!!!!!

 

 1 パラサイト(映画)

 解説不要ですね。なんも言えねえ。

 なんも言えねえよ。

 笑いと感動と人生の厳しさが全て詰まっている。画面作りと脚本全てが完璧でユニーク。なんだろうこの、なんだろう。すごい言語化が難しいです。ポン・ジュノ監督は映画作るのマジで楽しいんだなって言うのが伝わってきました。

 好き嫌いは分かれると思うんですけど、誰でも見たら何かしら得るものはあると思います。映像作りや脚本の構成、キャラクター造形など。堂々とおすすめしたいです。とはいえ自分この映画めっちゃ好きになっちゃったので、他人の感想とかほとんど見てないし、いわゆる「この映画は俺のためにあるんだ!!!!」モードに入ったくらい好きになったので積極的に進めたくない(は?)。初めて映画館に2度足を運んだ映画です。これ見て自分が創作する必要ってあるのかなってめっちゃショック受けました。

 まともに感想書けなくてすいません。自分ってまだ、作品からこれほど衝撃を受けられるんだと思い知らされました。でももしも見るときはあんまり期待を高めないで見てください、これはあくまで個人の意見なので

 

 2 かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた(小説)

 感想ここに書いてます。

 ドキドキハラハラなサクセスストーリーです。ノンフィクションです。
 エンタメに求めるもの全部入りでした。Amazonレビューが少なすぎるんですけど、なんででしょうね。これマジで面白いですよ。実話とは思えないほど波瀾万丈なのです。アメリカの田舎生まれの黒人がロシアで興行師として大金持ちになる話って聞いただけでもワクワクしませんか?海外文学、特にロシア文学が好きな人は読んで損はないです。面白すぎて徹夜して読んじゃいました。もうねーロシアの華やかな舞踏会が目に浮かんでくるようで本当に素晴らしい。映画化してくれ〜

 

 3 id:INVADED(アニメ)

 自分はあんまりアニメ見なくて、理由は恋愛ものと学園ものが苦手なので見られるタイトルが少ないからなのですが、これめっちゃ面白かったです。脚本の力を感じました。あと絵柄も個性的でかわいいです。
 主人公のキャラがよかったです。主人公と妻、子供のエピソードはなんか泣いちゃいました。あれはずるい。しかも御涙頂戴的な感じではなくて、きちんとストーリーの必然上にあるのはすごい。ラストも解決したけどモヤっとした余韻を残す感じが、刑事ドラマっぽくてよかったです。
 OPとEDがカッコ良すぎる。センスが良です。中毒性あります。

 

 そういえば、自分は大好きなアニメに「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」があって(学園ものじゃん・・・)これは高校に行くことが一般的では無くなった時代に、高校の存在意義を問う的な作品なのですが、主人公がひたすらに魅力的なんです。

 id:INVADEDとは別物の作品ですが、共通しているところもあります。主人公がどこまでも不可能に見える課題を達成しようとあがいているのです。

 もちろんほとんどの作品は課題を達成するという流れで作られている訳ですが、この二つはその描き方が非常に上手いです。両者とも立ち向かってくる壁が高すぎてラストも全てが解決されてはいないのです(イドは人間の深層心理、悪だったり、まなびは周囲の無関心だったり)。それでもなんとか手の届く範囲で問題を解決して、これからも立ち向かっていく。そんなかすかな希望がラストに感じられます。

 そういう、万能ではない主人公がなんとか頑張る作品っていいよねって思いました。

 

 4 そんな彼なら捨てちゃえば?(映画)

 

 電話が来ない-忙しいのよ。

 結婚しない-愛があれば関係ないわ。

 浮気してる-正直に打ち明けてくれたの。

 いいえ-彼はあなたに気がないだけ。

 

 ↑声に出して読みたいキャッチコピー

 「男子禁制のガールズ・トーク・ムービー」らしいですが、誰が観ても面白いと思います。

 最初は全く期待しないで観ました。タイトルがタイトルなので。

 ・・・開始数分で「マジ」になって観てました。みんなキャラが濃い。普通にそこらへんで起こってそうな出来事が連鎖して、悩み解決へ向かう、その過程がめっちゃ面白いです。ジジが好きです。あの空回りする感じリアルすぎやしませんかね!

 

 5 ラ・ラ・ランド(映画)

 これも説明不要ですね。すごく好きな映画です。曲が良すぎます。人生ってそんなもんなんだよな・・・

 

 6 FARGO/ファーゴ シーズン1(ドラマ)

 クソッ!!!このドラマは観たこと秘密にしようと思ってたのに!!!

 いや・・・完成度が高すぎて、自分の次のゲームの元ネタにしようと思ってて、完成するまで観たこと隠しとこ!って思ってたんですけどやっぱり良かったので書きます。

 まず、殺し屋と冴えない中年サラリーマンが出会う……っていう始まりからして、めちゃくちゃ期待値が上がりませんか???

 映画のように映像が美しく、ジェットコースターのように話が展開していきます。好き嫌い分かれるタイプのドラマです。オチも綺麗です。

 

 7 猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を追え(ドキュメンタリー)

 これは完全なるタイトル詐欺ですね間違いない。騙されたと思って見てみてください。全情報が一切ない方が面白くみられるタイプのやつです。ドキュメンタリーなのに。

 本当に実話なのか?と疑うほどに気味が悪い事件を取り扱った作品です。「コリアタウン殺人事件」が気に入った方なら好きになると思います。自分は現実とフィクションの境目が曖昧になりました(全て実話ですが)。

 もし見た方いらっしゃいましたら感想教えてください。かなり賛否や感想が分かれる作品だと思います。

 

 もっともっとありますが疲れたのでこの辺で・・・

 

 2020年はBadCats Weekly様に寄稿もさせていただきました。作品について書ける場を提供していただき、とても嬉しかったです。この場を借りて御礼申し上げます。

 

badcatsweekly.com

 

badcatsweekly.com

 

 インタビューもしていただき・・・もうびっくりです

 

 昨年はべおちる関係でいろんな方にお世話になり、もう感謝しっぱなしの一年でした・・・。音楽などかなり豊作でしたが、解説できるほど詳しくないので省きます。

 今は頂いた「シェル・コレクター」「図解解説 警察の仕組み」を読んでいます。読み終わった本の感想も書いていきたい・・・。

   

2020年が終わる

 2020年も終わりということでブログを書くことにした。

 年末に1年を振り返らなければならないという決まりはない。でも、イベントごとに何かをしたり、祝ったりしたほうが人生に彩りが出て、楽しくなるのではないかと思う。なので振り返ることにした。クリスマスもお正月も、何か特別なものを買いたくなる人間なのだ。

 

各種snsの運用

 

 たまにブログを読んでくれる人ならうすうす気づいているとは思うけれど、自分は記事をよく消す。自分の文章を読み返すのが耐えられない。

 Twitterで呟く分には気が楽だ。文というよりは一言だから、読み返してもあまりダメージがない。こちらも定期的に過去のツイートは消しているが、ツイートが残っている時でも過去をわざわざ数ヶ月ぶん遡って読む人は少ないだろうから気が楽なのだ。そもそも自分の言葉があまり好きではない(自作の宣伝も苦手だし、できるならやりたくない。でもたくさんの人に遊んで欲しいので頑張っている)。

 Twitterで流れてくるコンテンツを見ていると嫌な人間になりそうなので、最近はインスタで食べ物やデザインの画像を見ることが多くなってきた。サークルのインスタのアカウントを作ったのもそのため。あんまり更新してないけど、アートワークが何かできたら雑に載せると思う。

 ゲームの進捗を載せる場としてFanboxも考えたが、定期的に更新できる自信もないし、スケジュールを立てて制作しているわけでもないのでなんだか説明しづらい。多分使うとしても月額制とかにはしないと思う。

 

ゲームの宣伝について

  ゲームについて全貌がわからないほうが、いざゲームを触ったときにワクワクするのではないかとは思っている。それは宣伝とトレードオフになるため、どちらを取るか悩ましいところではある。ただ、この得体の知れなさというのは今だとかなり貴重なものとは思っている。「わからない」ものは少しずつ減ってきているので、せめてゲームをプレイする前くらい分からなくても良いのではないか。

 べおちるはプレイするまえのワクワクを提供できたかはちょっとわからないのだけど、何はともあれSteamなどの感想を見る限り楽しんでくれた人も多そうで、それはよかったなと思う。ストーリーにかんしては毎回のことだけど悔いはあるので、補完できそうならしたい。悔いがあるのでエゴサも目を細めながらやっている。それで割と自信を無くしていたけれど最近はどうでも良くなってきた。

 

 

 

 自分は就職して、金!有名人!インフルエンサー!拡散!うおおおおお!!!、、、!的な業界に入ったので「わからなさ」の大事さを忘れることがある。

 小説の良さは、わからなさを自分なりにもっとわからなくしたり少しわかったりする行程にあると思う。この現象を的確に表した言葉が伊藤計劃「ハーモニー」のミァハが言った

 「メディアと、わたしと、ふたりっきり」

だと思っている。

 メディアは不完全で欠けているものなので、そこを埋める作業は自分になる。それを考察という言葉で呼ぶのかも知れない。

 自分の経験に大きく依存する埋め方と、作品を純粋に埋めていく行為は少し違う気がする。後者は批評家のもので、単にぼんやりと作品のことを考える時は前者のことが多い。

 自分は電子書籍が苦手だ。雑誌や漫画はいいんだけど、小説は絶対に本を買う。これはふたりきり感がAmazonGoogleAppleに侵されている感じがするからだ。電子書籍リーダーは利権の匂いが強すぎる。なんとなくそんな気がしている。

  

 何が言いたいかというと、この二人きり感を演出するのに作者がいらんでしゃばり方をすると、

 作品→作者(とか宣伝とか広告とか)→読者

になって、純粋に物語が楽しめなくなるのが怖い。例えば作中の描写を見て「これは作者の経験だな」とか思われたらもう終わりだなと思ってしまう。

 それ自体は悪いことではない。自分自身作品を読んで、これは実体験だなと思っても不快感は覚えない。作品として面白ければ問題ないのだ。しかし——物語はエッセイではない。作者の影よりもキャラクターの色が強ければそれほど違和感はない。だから「これは作者の経験」と感じさせるより前に「これはキャラクターの経験」と思ってもらわないと困る。

 つまり

 作者→作品→読者 

 が望ましい。

 

 (自分的には) 

 

 まずはゲームとプレイヤーの二人きりであってほしいなと思っている。だから宣伝に関して自分はいつも悩んでいる。

 

 ちなみに、ゲーム内に自分の体験が含まれているかというと、含まれている。しかし割合としてはかなり少ない。自分は人も殺してないしひどくいじめられていたこともないし親が殺されたことも逮捕されたこともエッチな女の子に調教されていたことも少年院に入っていたこともない。ザ・何もない人間と言っていいだろう。

 そういう何もない人間が書いているので、たとえプレイヤーが「これは冷蔵庫の体験だな」と思っても実際は冷蔵庫の体験ではない可能性の方が高い。思想はダダ漏れかもしれないけれど、キャラクターにオレの正義を代弁させて世界を変えてやるとかは思ってない。多分。

 じゃあなんでゲーム作っているかというと、この世界をもっと知りたいなというのがあって、誰かの作品読んだり、自分で書いてみたりして解像度をあげたいというのがある。もちろん普段の憂さ晴らし的な側面でやっていることは否定できないのだけど、最近はそれよりもポジティブな意味で文章を書くようになってきた。

 しばしばゲームの感想を頂くようになり、好奇心はさらにみたされていると感じるし普通に嬉しい。なのでプレイヤーを増やしたい気持ちはある。作品の意図がうまく伝わってなさそうだなと思う時もあるが、自分の技巧や作り方が未熟なせいなので、それを知ることで次に繋げることができるので良い影響しかない。

 ということを踏まえるとゲームの宣伝は不可欠になる。2021年はもっとうまい感じにサークルを運用していきたいです。

 

 

次作など

 

 猫虐待者を私的制裁するJDvs有能警察官のゲームを作ろうかなーと思っている。

 作りたいものはいくつかあって、別に企画していたゲームとかべおちるファンディスクとか色々あるけれど、まだ先になる。

 ゲーム部分をちゃんと作りたいと思っているものの技術的に不可能だったらやめる。Game MakerStudioで作る予定だったが、プログラミング技術なんてないので無理だった。人間向き不向きがある。多分またツクールになる。

 立ち絵はすでに描いた。

 タイトルは既に決まっていて「All Dead」になる。

 物騒なタイトルに見えるが、全くそうではなくて、Queenの楽曲からとっている。

 

youtu.be
 猫と過ごした思い出を歌った曲らしいです。本当にいい曲だしPVがかわいいです。

 こういうゲームを作りたい。

 

 今年はゲームのご感想やほしい物リストからのプレゼントやFAなどありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。

  

本の感想

  誕生日プレゼントに欲しいものリストで欲しいものを送っていただいたゆえこの機会に本の感想でも書こうと思う。本当にありがとうございます。

 

-------感想とは関係ない話

 ……本来ならば「ベオグラードメトロの子供たち」の振り返りなどを書く予定で、現に2週間前から3000字程度の下書きを書き進めてきたが、今見ると伝えたいことはすでに公式アカウントで宣伝し尽くしてしまったように思える。その記事には協力していただいた方(ばじるちゃん、poroLogueさん、バーチャルねこさん)への謝辞も含まれていた。しかし、感謝の言葉はご本人に直接伝えれば良い。自分のイラストを見てくれたり文章を読んだり応援していただいた方々には今ここで御礼を言わねばならない。本当にありがとうございます。普段から応援してくれる人がいたおかげでモチベーションが維持できたし、助けになった。

 つまるところ、その振り返りの記事で重要なのはこれだけだし、自分が作品をどのような環境下で作ったか、どのような感情を抱いたか、などは今振り返る気になれない。もともとそのような作品以外の点をつまびらかにするのはあまり好まない。よって振り返りはここで終了。

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 今回頂いた本はこの下に感想を随時追加していく。

 感想を書くのは難しい。このご時世誰かに矛盾や一貫性や知識のなさを叩かれて終わりという悲惨な末路が多すぎて、何かを発信することに恐怖心を感じる。自分は適当に発言することが多いので尚更怖い。だから話半分に読んでね。本の内容については多少端折って語る。

 

 去年頂いた本には少し触れておくべきだろう。

 

 「RED」…デザイナーがナチスについて解説した本。フォントがらみの話はデザイナーならではの視点で、執着さえ感じた。紹介されていた映画もセンス良かった。ただ根拠の見えない歴史の独自解釈は少し気になった。デザイナーに求めているのはデザインの観点。

 「かくれた次元」…大学の教授がずっと勧めていたので読んだ。教授が勧める理由はわかったし、多少理解するのに時間がかかるところもあったものの興味深く読めた。人間の認知に関する本。これ読むデザイナーってどれほどいるんだろうとは気になった。

 「虐げられた人々」…ドスさんの本。この人の文章を読むとマジで影響されるので危険。パロディしたくなる文ですよね。なんなら脳内会話もまわりくどくなる。ロシアン激情物語で、この作者の本が好きなら気にいる内容だった。主人公は萌えキャラ。

 「狙われたキツネ」…チャウチェスク政権時代のルーマニアの物語。どれほどひどいことが行われていたかはネット上にごまんと資料があるので割愛。この本には政治的要素は直接的に描かれていない。ただ登場人物たちの息苦しい生活が描かれる。良い本だった。物語の力。正直影響された。今の時代に読むべき、とかあまり言いたくないけれど、多くの人に読んでほしい。

 

 

 今年の本の感想。いちいち写真を載せていく。頂き物の写真をインターネットに載せる習慣がないけれども(あくまでプライベートな品物であると認識しているため、気が引ける)今回は届いたという報告も兼ねて

 

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 「『正しい政策』がないならどうすべきか」…某氏が読んでいたので興味を持った。政治哲学というジャンル自体知らなかったので、途中でこれは自分が読むべき本なんだろうかと一瞬迷ったが別に誰が読んだっていいよね。平たくいうと思考のプロセスの本。「安全性」の章が一番面白かったかな。イギリスでは政治哲学者が公共政策に関わるらしい。日本はどうなんだろう。イギリスの中学生はこういう本を持ち出してディベートとかするんだろうか。 

 

 「拳銃使いの娘」

 父娘ものいわゆる「子連れ狼」もの。割とあっさりした本でしたが、キャラが立っててよかったです。娘のポリーが父親で殺し屋(元ギャング?)のネイトと一緒に旅をして強くなっていく物語です(いくらか語弊はありますがこんな感じです)。ロードムービーのようでもあり、アメリカ各地の砂漠や治安の悪いビーチなんかが楽しめます。著者は「メンタリスト」など有名ドラマの脚本を手掛けていたようです。確かに映像がまぶたの裏に浮かんでくるような文章でした。映画化したら見てみたいです。ラストもいい感じでした。キャラ造形のお手本にいいかもしれない本。

 

 「かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた」

 これは……めちゃめちゃ面白かったです。マジの本当に面白かったです(なるべくネタバレは避けますが、この本を余すことなく楽しみたい人は、すぐにこのページを閉じて本を読んで欲しいです)。

 第一次世界大戦が始まる直前、トーマスというアメリカ出身の興行師がロシア、トルコでアメリカンドリームをつかむというお話、というかノンフィクションなのですが、まるでお話とみまごうごとく美しくきらびやかで波乱万丈なんです。正直、これが嘘か本当かはどうでもよく、トーマスという男がこういう風に書き残されていた、ということが重要なのではないかと思います。

 ミシシッピの元奴隷農家の出身である黒人のトーマスは、根強い差別が残るアメリカからヨーロッパへと旅立ちます。彼はホテルの給仕からメートル・ドテル(ホテル長)を経て、最終的に自らで事業を立ち上げます。それから彼は見事巨大な富を得るのですが……という物語です。

 海外文学好きな人は読んで損はないと思います。ロシアの富裕層の遊び方、屋外の豪華なパーティーどんちゃん騒ぎの描写は実に見事です(周りくどい書き方を一切していないのに、当時のごてごてと飾り付けたミュージック・ホールの様子がありありと浮かんでくる文章です。訳がいいのかな〜)。その後、彼は妻子と共にトルコのコンスタンティノープルに移り住みます。一文無しになった彼が再起を図って立ち上げたナイトクラブの豪華さ、金回り、見ていて飽きないです。

 花火のように、夜の間だけパッと輝くナイトクラブ。トーマスは何十年間も経営に携わり、自らも余興に加わっていました。こんなにも華やかなのに、歴史が少し指を動かせば消え去ってしまう儚い夢のような空間なのです。

 えもえもです。

 

 

 マジで本の感想書けなさすぎて絶望しているのですが、頑張って感想書きます。次は「西瓜糖の日々」です。

 

(ここに順次感想を追加していくよ)

 

本以外

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iPadケースを食べる文化の人から頂きました。ありがとうございます。

Freitag

 私はFreitagというスイスのブランドが好きだ。だからこの記事はFreitagを称賛する内容になる。このことは周囲に散々言っているし、言い続けると思う。デザイン、マーケティング共に完成度の高く、メジャーでもマイナーでもない、良い立ち位置のブランドだからだ。

 Freitagとは主にバッグや財布を制作するブランドである。トラックの幌(防水布)を再利用して作られており、どの製品も非常に丈夫に作られている。例えば、リュックやメッセンジャーバッグの紐部分はシートベルトでできていたり、他の製品には自転車のチューブが使われていたりするらしい(『PETインナーライニング』という名称のものだろうか)。さらに3年間の保証がついている。店員さん曰く「よほどのことがなければ壊れない」らしいが……。もう、ここまでで非常にかわいい。車でできたリュックってかわいすぎる。

 真の意味で個性的なのもポイントだ。製品は全て手作りで、この世に二つと同じものはない。工場では硬いトラックの幌を縫い合わせる専用のミシンが使われているという。かわいい。この環境への配慮、オリジナリティという二つの特徴は、私の似非エコ精神をいい感じにくすぐってくれる。割り箸やビニール袋、ストローの消費を憎み、買い物にエコバッグを持参する、かと言って冷房はガンガンに効かしてシャワーの水を無駄遣いする、こういう似非エコ人間は再利用というワードに弱い。

 Freitagのプロダクトは使い込むほどカッコよくなるのも他とは一線を画すところだ。長い距離を走り回ったトラックの幌を用いているため、新品の時点で使用感がある。さらに使うほどボロボロになり、カッコよくなる。まるで町工場で働くおっさんのつなぎのように。渋くなる。オリジナリティが爆発するのだ。私の似非デザイン精神が刺激される。長く物を使っているエコアピール、さらにそのわかる人にはわかるカッコよさをアピールできるため、非常に使っていて気持ちがいい。ちょっと高いけど、この快感を数万で得られるのなら安いものだ。

 無論マーケティングも優れている。ビジネスモデルキャンバスという図があるけれど、Freitagは全てを兼ね備え、うまく回しているだろう。

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Fritagのビジネスキャンバスモデル

 この図が成り立ってないとビジネスできんよという図らしいよ。
 Fritagは上のハートマーク(顧客との関係)の築き方がうまい。つまり上に書いた似非なんちゃら精神のくすぐり方が非常に優れている。エコしたい、だけどダサいのは嫌という、似非エコ人間の心理にぴったりなプロダクト。資源の調達もユニークだし、上の車マーク(顧客への価値の届け方)に至っては、もう誰も真似できないだろう。するな。というのは、店舗のつくりが小さなアトリエや工場のようになっていて、壁面に備え付けられた棚に紙の箱(『V30 FREITAG Skid』)がずらっと収められている。我々は膨大な一点もののバッグ、財布、アクセサリーを、その中から選ぶことができる。同じプロダクトでも顔が全く違う。店の奥では修理を行っていることもあり、特製のミシンがガラスの壁の後ろに置いてある。手作り感あふれる、それでいてスタイリッシュな空間づくりが全ての店舗で統一してなされている。今流行り(が終わりそうな)ミニマライズをディスプレイに取り入れ、かつ無骨な感じも出てて、とにかく、店にいるだけでワクワクする。だから行ってみてほしい。買わなくてもいいから製品を手に取ってみてほしい。幌の匂いとか、ディスプレイの商品愛とか、なんか全部いい感じだから。

 (上で似非エコ人間とか書いたが、実際Freitagのコンセプトは素直にカッコいいと思うし、トラックの幌に様々なストーリーを感じるのもわかる。それをリュックとして背負っている、というのも普通に好き。リサイクルをカッコよくデザインするのマジですごいと思う)


 こんなFreitagの財布を、知人の誕生日にプレゼントすることになってしまった。安いプレゼントではない。しかし、何をプレゼントしようかと公式サイトを見ているうちに、私は興奮してこのような記事を書いてしまった。それほど、Freitagのプロダクトには魔力がある。ぜひ親しい友人には布教したい。しかし、めっちゃメジャーにはなって欲しくない。どうか知る人ぞ知るのポジションであり続けてくれ。

 ちなみにFreitagはドイツ語で「金曜日」という意味で、スイスでもドイツ語が使われているらしい。

 自分はF49 FRINGEというでかいリュックを使っている。買って9ヶ月ぐらい経つけど壊れる気配はまだない。Freitag背負ってる人に悪い人あんまいないと思う(何?)。

新年コミケ振り返り&ガイドブック反省会

 あけおめことよろです。
 先日はコミックマーケット97にお越しいただきありがとうございました。

コミケ

 サークル初参加でバタバタしていましたが、売り子さんの多大なる尽力をいただき無事終えることができました。次はガムテープとカッター持ってこうね。
 釣り銭の渡し方もわからないままにひたすら緊張しておりました。周辺のサークルを回る暇もないほど、予想以上に忙しかったです。なるべくスペースにいたかったというのもあります。
 スペースにお越しいただいた方、本当にありがとうございました。おかげで40部の通販分除く60部を完売することができました。
 ゲームをプレイしてくれた方とお話できて嬉しかったです。今まで姿の見えなかったプレイヤーさんと話すのは不思議な気分でした。自分の単なる妄想ではなかったことが確認できてほっとしています。
 お手紙やFA、差し入れ本当にありがとうございました。一生の宝物になります。読んだら目頭が熱くなるやつなので、コミケから帰ったあと一人で読みました。手書きの文字って強い……。
 差し入れはプライベートにしたいので写真は載せませんが、ありがたく頂戴しました。コーヒーを1日6杯以上消費するので非常に嬉しかったです。コーヒーと合わせて紅茶をローテーションするのが習慣なので、年末年始の作業中差し入れでエンジョイしていました。お菓子も合わせてつまむので優雅な作業を実現できました。
 
 5月の夏コミも申し込んだので受かったらいいなー

ガイドブック反省会

 初めての同人誌制作でした。締め切りギリギリまで漫画を描いて瀕死でした。応援してくださった方ありがとうございました。
 ここからは反省です。

  • 表紙カバーを制作したがインクが手につく+サイズが小さすぎた

 無配ペーパーとカバーはレトロ印刷JAMさんを利用させていただきました。素晴らしくセンスのある業者さんです。
 ただ自分のリサーチ不足により、カバーのインクがすごく手につく事態になってしまいました。ここまでとは予想外でした。紙とインクの相性が悪かったものと思われます。無配のほうは手につかない感じだったので。
 それに加えて、当日OPP袋を忘れるという不始末……。申し訳ありませんでした。
 サイズが小さい(折込む部分が短い)のは完全に自分が見切り発車で作ったせいなのですいません。

  • ページずれた

 1ページ目が片ページだけということを失念し、レイアウトがずれました。正しくはカラー版pdfのほうで見られると思いますのでそちらを参照してください……。

  • 通販の発送遅い

 これは自分の卒制と院試がちょうど1月のこの季節に重なってしまうためです。20日発送目指して頑張ります。Boothにて電子版も同日公開予定です。
 ウェイティングリスト?メールアドレスを登録してくださっている方が結構いらっしゃるのですが、再販予定はないので電子版を購入していただければ(電子版に切り替えるといったものの切り替え方知らないので別ページに作ると思います)。
 あまりにもリストが多くなったら再販を考えますが、刷って余ると困るので現在は電子版のみの販売になります。

ゲーム進捗

 こんな感じで年末年始の振り返り終了です。去年は色々ありました。昔を振り返るのはあまり好きではありません。時間の無駄としか思えないのです。
 時間の無駄をしてみます。去年の元旦はロンドンのニューイヤー花火を見たあとバスに乗り遅れ、クソ寒い中駅で一夜を過ごしました。確か年末年始は電車賃が無料になっていたはずですが、深夜は営業していません。駅には(ウォータールーだっけ?忘れた)警官や人が多かったので危ないことはなかったです。ただ寒かった。ホテルは高くて泊まれなかったので駅のベンチで4時間半時間じっとしていたのを思い出します。午前4時半、空港に向かって始発の電車に乗るために街中を歩き出しました。誰もいない元旦のロンドンは冷たく寒かったです。電車に乗って仮眠を取り、小さな空港までバスで行って、飛行機で3時間後、無事住んでいたケルンに到着し、間借りしていた部屋で爆睡しました。徹夜+寝正月だったのです。
 だから去年より今年のが良い年の始まりです。

 最後にゲームの進捗を少し載せて締めくくりたいと思います。

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大スチル

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小スチル

今回は従来の大きなスチル+状況説明のための小さなスチルが加わります。マンガのコマのような感覚です。
最近『マルコと銀河竜』というノベルゲームが怒涛のスチル量でヤバい、という話題を目にしました。動画を見ましたがものすごそうです。
自分の身は一つしかないのでそれほど描けませんが、代わりに躍動感を出すためになんとか楽して工夫できないかなと考えている最中です。
戦闘シーンではモーショングラフィックスのような手描きエフェクトが挟まったりします。
楽しめるようなゲームになればいいですね。

10日で大小スチル31枚+スクリプト3話分を終えたのは褒めて欲しいです。これから無限に修正が入るわけですが…

派手な展開とは? *グッド・フェローズのネタバレ注意

 先ほど「グッド・フェローズ」を観終わった。良かった。1ヶ月ほど観ようと思って放置していたものの、やっと再生した瞬間、開始2:15秒で映画から目が離せなくなった。ギャングとして登場する主人公。「昔からギャングになりたかった」ナレーションとは裏腹に、憔悴しきった主人公の表情がなんとも皮肉である。

 

 観賞後、余韻に浸りながらレビューを見てみる。

 「派手なメインエピソードに欠ける」

 ……おお?

 予想外の感想。

 レビューを俯瞰すると、おおよそ「リアリティがある、地味、淡々とことが進む、古臭い、テンポがいい」といったようなものが多い。

 確かにこの映画は、特筆すべき大きなイベントはなく、一つ一つの小さなエピソードを積み重ねながら大きな流れを構成している。前半は主人公がギャングに憧れる〜ギャングになって華やかな生活を送る。後半はFBIや警察に追われてハラハラするようなギャングの攻防も描かれている。

 この映画はほぼ実話をもとにしているらしい。リアリティがあると評判だが、自分は本物のギャングがどのような生活をしているかは見当がつかないので、リアリティに関して言及することはできない……しかし、確かに破綻している部分はないし、説得力もあるように思う。だからこそ「リアリティはあるが派手さにかける」という評価が出てくるのだろう。レビューというのは他の映画との相対的評価であるから「他のギャング映画と比べて地味である」と捉えることもできる。

 では「ギャング映画で、かつ派手な映画」とは一体なんだろう?

 

eiga.com

 ここを参考にしつつ映画を挙げてみる。

 「スカーフェイス」は銃撃戦、ロマンス、最後のシーンなどから派手と呼べるかもしれない。
 「勝手にしやがれ」はもっと地味なのでは。
 「ゴッドファーザー」は…すいません見てません……。
 「ブラック・レイン」はアクションがメインと言えるかも。
 「パルプ・フィクション」も凝った構成で、エピソードが派手というよりかは画面構成、色彩、美術が派手な印象を受ける。
 同監督の「タクシードライバー」には多少あった気がする。最後のシーン。
 「007」「アウトレイジ」とか、ギャングっぽいし派手かも。
 「トレーニング・デイ」は派手なアクションはあまりない。
 (「アメリカの友人」ってギャング映画なの?)

 ざっとギャング映画を見てみると、派手さというのはアクションと美術が重要な要素を占めるのではないだろうか。

 では、グッド・フェローズはアクションと美術において地味だろうか。

 上記の映画くらいのアクション「行動」なら、正直「グッド・フェローズ」にもある。撃ちまくる抗争シーンというのはないが人を撃つシーンなら山ほど出てくる。ただアクションを重視してはいない。

 美術に関しては、派手というよりかはリアルさに重きが置かれていると感じた。ただ、画面としては決して地味ではない。バーや高そうな車、スーツなど、美術はギャングたちの身につけているものの豪華さや、ことによっては悪趣味さを際立たせている。陰湿な華やかさとでも言えばいいだろうか。

 こうして考えてみるとグッド・フェローズは派手な映画とは言い難いだろう。

 しかし、ここで違和感を感じる。なぜなら上記で挙げたギャング映画のキモはアクションがメインでない限り、「派手さ」ではないからだ。映画内では画面構成、カメラ回し、技巧、テンポが重視されており、銃撃シーンやアクションというのは、画面の豪華さを際立たせたり観客の注意を引き付けるために行っている。場面転換のスイッチの役割。

 こう考えると、グッド・フェローズにそのようなシーンは存在しなかったが、決して起承転結がない、場面転換がない、というわけではない。

 この映画は派手なシーンを必要としなかっただけだ。

 「派手さ」「見せ場」が撃ちまくり死にまくりの抗争のことを指すのであれば、正直B級映画には腐る程あって、「グッド・フェローズ」を見ようという動機にはならない気がする。大体のっけからギャングに対する皮肉が描かれているのに、それも理解できないとなるとレビューを書くような読解力があるとは思えない。美術に関しては派手ではないものの地味でもない。ギャング映画相応の豪華さを期待しているのならば、映画を見ればわかるけれども、十分及第点を超えている。

 このような理由からAmazonレビューをはじめとする「派手さがない(のがマイナスポイント)」という指摘は的を外していると言わざるを得ない。個人の感想であるといえばそれまでだが「派手さがない」というのはこの映画に対する批判たりえない。まず物語単体に派手さが必要かどうか考慮すべきだ。「他の映画と比べて派手さが足りない」と言いたいのならば他の映画を見ればいいだけで、この映画に文句はつけられない。そもそも映画レビューというのは作品に含まれた無駄な要素、加えなければならなかった要素を考慮するところから始めるべきだと思うが……。その上で他の映画と比較して類似点や劣っている部分・優っている部分を論じるべきだ。

 

 派手な展開とは、観客を興奮させ、楽しませ、画面に釘付けにさせる要素を持った場面のことだ。アクションシーン、銃撃シーン、その他ストーリーをひっくり返すような仕掛けが求められる。しかし、派手な展開なしで観客を楽しませられるのであれば必ずしも必要とはいえない。あくまで一つの機能、スイッチとして認識すべきだろう。

 

 

 (自分の好きな「クイズ・ショウ」や「太陽がいっぱい」なんかも地味で淡々とした映画って呼ばれてんだよな……自分が世間一般でそう呼ばれているような映画を好む傾向にある、ということは認める)