Freitag

 私はFreitagというスイスのブランドが好きだ。だからこの記事はFreitagを称賛する内容になる。このことは周囲に散々言っているし、言い続けると思う。デザイン、マーケティング共に完成度の高く、メジャーでもマイナーでもない、良い立ち位置のブランドだからだ。

 Freitagとは主にバッグや財布を制作するブランドである。トラックの幌(防水布)を再利用して作られており、どの製品も非常に丈夫に作られている。例えば、リュックやメッセンジャーバッグの紐部分はシートベルトでできていたり、他の製品には自転車のチューブが使われていたりするらしい(『PETインナーライニング』という名称のものだろうか)。さらに3年間の保証がついている。店員さん曰く「よほどのことがなければ壊れない」らしいが……。もう、ここまでで非常にかわいい。車でできたリュックってかわいすぎる。

 真の意味で個性的なのもポイントだ。製品は全て手作りで、この世に二つと同じものはない。工場では硬いトラックの幌を縫い合わせる専用のミシンが使われているという。かわいい。この環境への配慮、オリジナリティという二つの特徴は、私の似非エコ精神をいい感じにくすぐってくれる。割り箸やビニール袋、ストローの消費を憎み、買い物にエコバッグを持参する、かと言って冷房はガンガンに効かしてシャワーの水を無駄遣いする、こういう似非エコ人間は再利用というワードに弱い。

 Freitagのプロダクトは使い込むほどカッコよくなるのも他とは一線を画すところだ。長い距離を走り回ったトラックの幌を用いているため、新品の時点で使用感がある。さらに使うほどボロボロになり、カッコよくなる。まるで町工場で働くおっさんのつなぎのように。渋くなる。オリジナリティが爆発するのだ。私の似非デザイン精神が刺激される。長く物を使っているエコアピール、さらにそのわかる人にはわかるカッコよさをアピールできるため、非常に使っていて気持ちがいい。ちょっと高いけど、この快感を数万で得られるのなら安いものだ。

 無論マーケティングも優れている。ビジネスモデルキャンバスという図があるけれど、Freitagは全てを兼ね備え、うまく回しているだろう。

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Fritagのビジネスキャンバスモデル

 この図が成り立ってないとビジネスできんよという図らしいよ。
 Fritagは上のハートマーク(顧客との関係)の築き方がうまい。つまり上に書いた似非なんちゃら精神のくすぐり方が非常に優れている。エコしたい、だけどダサいのは嫌という、似非エコ人間の心理にぴったりなプロダクト。資源の調達もユニークだし、上の車マーク(顧客への価値の届け方)に至っては、もう誰も真似できないだろう。するな。というのは、店舗のつくりが小さなアトリエや工場のようになっていて、壁面に備え付けられた棚に紙の箱(『V30 FREITAG Skid』)がずらっと収められている。我々は膨大な一点もののバッグ、財布、アクセサリーを、その中から選ぶことができる。同じプロダクトでも顔が全く違う。店の奥では修理を行っていることもあり、特製のミシンがガラスの壁の後ろに置いてある。手作り感あふれる、それでいてスタイリッシュな空間づくりが全ての店舗で統一してなされている。今流行り(が終わりそうな)ミニマライズをディスプレイに取り入れ、かつ無骨な感じも出てて、とにかく、店にいるだけでワクワクする。だから行ってみてほしい。買わなくてもいいから製品を手に取ってみてほしい。幌の匂いとか、ディスプレイの商品愛とか、なんか全部いい感じだから。

 (上で似非エコ人間とか書いたが、実際Freitagのコンセプトは素直にカッコいいと思うし、トラックの幌に様々なストーリーを感じるのもわかる。それをリュックとして背負っている、というのも普通に好き。リサイクルをカッコよくデザインするのマジですごいと思う)


 こんなFreitagの財布を、知人の誕生日にプレゼントすることになってしまった。安いプレゼントではない。しかし、何をプレゼントしようかと公式サイトを見ているうちに、私は興奮してこのような記事を書いてしまった。それほど、Freitagのプロダクトには魔力がある。ぜひ親しい友人には布教したい。しかし、めっちゃメジャーにはなって欲しくない。どうか知る人ぞ知るのポジションであり続けてくれ。

 ちなみにFreitagはドイツ語で「金曜日」という意味で、スイスでもドイツ語が使われているらしい。

 自分はF49 FRINGEというでかいリュックを使っている。買って9ヶ月ぐらい経つけど壊れる気配はまだない。Freitag背負ってる人に悪い人あんまいないと思う(何?)。